円満退職のススメ!ステップ4 スムーズな引継ぎで印象UP!
2018.6.5
退職者の印象や円満度を左右する「引継ぎ」。自分がいなくなった後も周りが困らないように、わかりやすく、“もれ”の無い引継ぎを心がけましょう。ステップ4では、引継ぎの流れとポイント、そしてサロンワークの引継ぎについて確認していきます。
退職日までに必ずすることの一つ。それは引継ぎです。
「退職したあとのことは関係ない」と引継ぎをおろそかにすることは、円満退職を目指す前に社会人としてマナー違反です。退職した会社や同僚に迷惑をかけ、あなたが今まで築いてきた信頼関係を失ってしまうことも考えられます。
また、引継ぎがうまくできなかったせいで、退職後も以前の職場から何度も問い合わせの連絡がきて、転職先の仕事にまで影響が出てしまったという話もよく聞きます。
反対に、引継ぎがスムーズに行われることで、退職する会社の負担を減らし、自分自身の評価につなげることもできます。
退職者の印象を良い方にも悪い方にも左右する引継ぎ。円満退職を決定づける最重要課題の一つであることは間違いないでしょう。
それでは引継ぎの流れとポイントを見ていきましょう。
1. 引継ぎスケジュールを作成する
通常業務と並行して行うことが多い引継ぎは、スケジュール管理が大変重要です。退職までの日数と、引継ぐ事項、どれにどのぐらい時間がかかるかなどをきちんと把握し、退職日(最終出社日)の数日前までに完全に引継ぎが終わるようにスケジュールを作成しましょう。スケジュールは狂うものと心得、余裕を持ったスケジュールにすることが大切です。
また、後任者との間でスケジュールのすり合わせを行うことも必要です。あらかじめ後任者や上司と引継ぎに使える時間を打ち合わせておき、その時間内に引継ぎが完了するよう、引継ぎの順番やいつまでに何を引継ぐかなどのスケジュールを立てましょう。
あまり時間が取れないという時は、優先順位をしっかり考え、文書で行えることと、実際にやってみなくてはわからないことなどを見極め、効率よく行っていくと良いでしょう。
2. 引継ぎ資料を作成する
引継ぎは口頭で済ますだけでなく、引継ぎ資料(メモ、マニュアル)として文書化した方が良いとされています。
と言うのも、口頭で伝えて後任者にメモを取らせる方法をとると、人によって理解に差が出てしまったり、伝え忘れがあっても気づけなかったり、退職後に何らかの情報の抜けがあった時に対処できなかったりする可能性があるからです。
また、後任者がなかなか決まらないという状況も考えられます。誰が見てもわかる詳細な引継ぎ資料を作成しておけば、メインは資料で、重要な点だけ説明するなどの効率化を行い、少ない日数で引継ぎを完了させることができます。
引継ぎ資料の内容については、職種や担当する業務内容によって大きく異なりますが、一般的な内容は以下の通りです。
- 業務の内容・範囲(目的、社内での位置づけも)
- 業務フロー(毎日の業務/一定期間ごとに行う業務を整理)や進行状況
- 顧客名簿
- 取引先名簿
- 過去のトラブルと対処法
- 業務で使用する資料やファイルなどの場所
資料を作成する時は、とにかく丁寧に順序だてた説明をすることを心がけましょう。
自分がやってきた業務についてまとめる時、ついつい「わかっている」自分の尺度で考えてしまいがちです。そのせいで、基本的な説明がごっそり抜けてしまっていたなんていうことも。自分にとっての当たり前が、人にとっても当たり前とは限らないということはきちんと理解しておきましょう。
新人に引き継ぐことを想定し、資料を作成していくと良いかもしれません。自分が新人だった時のことを振り返って、わかりやすい資料を作成することを心がけましょう。
また、過去に業務や顧客を引継いだ経験がある場合、こんなことが知りたかった、これがわかっていればもっとスムーズに引継ぎできたのにという視点を盛り込んで資料を作成することも大切です。
3. 後任者に引継ぐ
後任者が決まったら、資料を渡して説明をします。会社によっては、実際に後任を連れて施術に入ることもあるかもしれません。
いずれにしても、その時に気をつけたいのが「後任者としっかりとコミュニケーションをとる」ことです。
退職直前の時期は、忙しさと引継ぎを終わらせなければというプレッシャーから、相手の反応を見落としてしまうことがあります。資料を作成し、丁寧に説明できたとしても、相手が理解していなければ何の意味もありません。自分の説明に終始するのではなく、相手が理解しているのかいないのか、その反応から見極めましょう。その時に、「わからなかったらなんでも聞いてくださいね。」と一声かけておけば、相手もリアクションしやすくなるのでよりスムーズに引継ぎが進むでしょう。
また、物事を説明するときのテクニックとして、
- まずアウトライン(概要)を説明してから詳細を説明する
- 「目的」を相手と共有する
というものがあります。
「今日は〇〇〇〇を説明しますが、これは△△△を理解してもらいたいからです。」と一言加えるだけで、話を聞く方も、話の全体像を把握することができ、大切な点を外さずに聞くことができるので、理解が進むでしょう。
後任者が質問してきた項目を中心に、引継ぎ資料を更新しておくことも忘れずに行いましょう。
4. 社外への引継ぎ
引継ぎというと社内でのことと考えがちですが、社外への引継ぎも忘れてはならない大切な業務です。
サロンワークの場合は、主に自分が担当するお客様に対する説明や後任者の紹介などがメインになってくると思います。今後もお店を使ってもらえるよう、誠意をもって対応したいですね。後任者の長所などをさりげなく伝えられると良いでしょう。
ただし、対外的な引継ぎは、会社やお店の意向を尊重することが大切です。どのタイミングでどのように引継ぎを行うかは、会社の指示に従いましょう。挨拶状なども同様に時期を図りましょう。
5. 退職後のアフターフォロー
いつまでも前職からの問い合わせが来続けることは困りますが、退職後から1~2か月は様子を見ることも必要かもしれません。自分から困ったことは無いか様子をたずねても良いですし、連絡先を後任者に渡しておくのも良いでしょう。
ただ、しっかりと引継ぎ作業を行い、きちんとした引継ぎ資料を残しているのなら、特に必要ないことでもあります。連絡先を渡さなくても問題ないでしょう。
その代わりと言っては何ですが、困った時に相談できる頼もしい先輩や上司、引き継いだ業務に特に詳しい、頼りになる人などを教えてあげておくと安心ですね。
サロンワークの引継ぎポイント
店長や管理職の仕事をしている人を除いて、サロンワークを中心に働いている人は、業界全体で研修が充実していることもあり、業務の内容や段取りなどについては、後任者も理解していることが多いと思います。
やはりあなたが担当してきた顧客名簿と顧客の情報が一番の引継ぎ事項になるでしょう。
顧客名簿を中心に、どんな悩みを持っているか、施術の内容、目的、現在の状況、どんな施術が好まれるか、どんな接客が好きか、どんな会話に興味を持たれるかなどをまとめておきましょう。反応の良かった営業方法などの記載もあるとさらに◎。
また、過去にあったトラブルなどをきちんと整理して、どんな対処をしたか、何がお客様の「地雷」になるのかを残しておくことも重要です。後任者に感謝される、とても役に立つ資料になることでしょう。
顧客情報の整理などは、転職を決意したら少しずつ始めていくと良いでしょう。既存のマニュアルや顧客情報(カルテ)の内容をアップデートしたり、引継ぎ用に新しく顧客ごとの対応マニュアルを作ったり。ポストイットなどに重要事項を記して顧客資料に添付しておくなどの方法も良いかもしれません。
引継ぎは、一人のスタッフが担当している顧客の数を考えると、おそらく膨大な量になってしまうことでしょう。自分の退職で、会社や後任者はもちろん、お客様に迷惑が掛からないことを念頭にがんばりましょう!
スムーズな引継ぎがあなたの自信につながる
引継ぎは、限られた時間の中で完璧にこなそうと思うと、本当に大変なことだと思います。でも、スムーズな引継ぎはきっとあなたの良い評価につながるはずです。すぐには実感できないかもしれませんが、自分に自信が持てたり、転職先での仕事に良い影響が出たり、業界での良い評判が広がったり…。近い将来必ずあなたの財産となることでしょう。
円満退職を目指すことは、あなたの信頼を積み重ねることでもあります。よく言われますが、「信頼を失うのは一瞬、取り戻すのは一生」。あなた自身のために、ぜひ円満退職を目指してください。