円満退職のススメ!ステップ3 退職交渉
2018.5.1
直属の上司に退職を切り出したら、次はいよいよ退職交渉スタートです。円満退職を目指すというだけでなく、あなた自身の希望を叶えながら退職するためには、ここでの交渉がとても重要になってきます。そのためにも、事前に退職交渉の流れやポイントを把握しておきましょう。
直属の上司に退職を切り出したら、次はいよいよ退職交渉スタートです。
円満退職を目指すというだけでなく、あなた自身の希望を叶えながら退職するためには、ここでの交渉がとても重要になってきます。
そのためにも、事前に退職交渉の流れやポイントを把握しておきましょう。
退職交渉の流れ
退職交渉の一般的な流れは次のようになります。
- 上司に退職を切り出し、退職意思を伝える
- 退職が認められる
- 退職日の決定
- 退職手続きの進め方やスケジュールに関する打合せ
円満退職を目指す上で、退職交渉における最終的なゴールは、退職の承認を得て、希望通りの退職日に決まることでしょう。そのためにも、しかるべき手順を守り、自分の要望を通す方法を探っていきましょう。
まずは退職意思を上司に伝える際に、どのような点に注意するべきか見ていきましょう。
上司に退職意思を伝える
「ステップ2退職の切り出し方」でもお伝えしましたが、退職意思を最初に伝えるべき相手は「直属の上司」になります。いきなり退職願などを突き付けるのではなく、「口頭」で伝えるのが一般的です。
退職意思を伝える際、大抵の場合、一度は上司からの引き止めにあうと思います。もちろん会社としては、人ひとりが辞めることは大変な痛手となるため、それも当然のことです。
ただし、しつこい引き止めにあってしまうことや、退職交渉が長引き、新しい会社に迷惑をかけてしまうことは防ぎたいですよね。
そのためにはどのように退職意思を伝えれば良いのか、しっかりと考える必要があります。
注意したいポイントは次の通りです。
・一度退職の意思を伝えたら、もう後戻りができないという覚悟を持つ
・退職の意思表示は、「相談」ではなく「報告」という形にする
・会社や上司への感謝や謝罪を示しながら、一方的な言い方にならないようにする
・具体的な退職希望日や退職期限を伝える
・納得できる退職理由を伝える
・転職先企業については明かさない
会社が今までキャリアを積ませてくれたことへの感謝と、退職により迷惑をかけてしまうことへの謝罪の気持ちを伝えながらも、退職の意思が固いということを表しましょう。
また、具体的な退職希望日、退職期限は必ず伝えるようにしましょう。退職が決定事項だということが伝わりますし、次の会社がすでに決まっているとわかれば、引き止めを防ぐことにもつながるでしょう。
退職理由はどう伝える?
「一身上の都合で」と退職理由をにごすこともできますが、それで納得してくれる上司は少ないでしょう。
上司も自分の部下(あなた)が辞める理由を会社に説明しなければならない立場です。具体的な説明を求めてくるでしょう。
この時に、相手や会社が納得するしかない、応援したくなるような理由を伝えることができれば、上司の立場も悪くならず、「残念だけど仕方ない」とあなたの退職に協力的になってくれるかもしれません。
それではどのように退職理由を伝えるのが良いか見ていきましょう。
退職理由を伝える時、うそをつくのはいけませんが、必ずしも本当のことを全て伝える必要はありません。
大切なのは、相手が納得する理由を伝えること。
引き止めにあわないよう「前向きな理由」「やむを得ない理由」を伝えると良いでしょう。
具体的には、
・ほかにやりたい仕事がある
・新しいことに挑戦してみたい
・キャリアアップを考えている
などが「前向きな理由」として挙げられます。
転職する人のほとんどに当てはまる理由となるため、使い勝手の良い理由とも言えるでしょう。
また、上手に伝えることができれば、上司や周囲からの応援が得られるかもしれません。
ただし、現職でも実現できることはそれを理由に引き止められることもありますので、気をつけましょう。
「やむを得ない理由」としては
・家族の介護のため
・妊娠、出産のため
・引っ越しのため
・健康上の理由
などが挙げられます。家庭の事情や健康上の理由ですと、会社として口出しすることはできません。
また、円満退職を目指す場合、会社に対して批判的な理由を言うのは、たとえそれが真実であっても控えた方が良いでしょう。
退職理由はあくまで個人的な理由を通しましょう。
「待遇改善するから」と引き止めの理由になってしまうこともありますし、会社や上司への不満は、聞いていて気分の良いものではないでしょう。
引き止めにあったら?
もし、昇進や昇給、人事異動などの条件を提示されて慰留された場合でも、
「大変ありがたいお話ですが、退職の意思に変わりはありません。申し訳ありません。」
と、謙虚かつ揺るがない姿勢を示しましょう。
すでに退職意思が固まっているなら、迷うそぶりを見せてはいけません。
それでも退職が認められない時は?
法的な観点から言うと、退職に許可は必要ありません。たとえ事業主が了承しない場合でも、退職の申し出から一定の期間経過すると契約は終了となり、退職することができます。(民法第627条)※契約社員など「有期契約の雇用」の場合を除く。
しかし円満退職を目指すなら、会社に退職が認められてから退職することが理想的でしょう。
そうなるとやはり話し合いでの解決を試みるべきでしょう。
会社の就業規則通りの手順を踏んでいること、引継ぎの準備はすでにできていること、次の仕事がもう決まっていることなどを、誠心誠意伝えましょう。
ここで気をつけたいのは、いたずらに時間だけが過ぎ、結果退職日がずれ込み、転職先企業に迷惑をかけてしまうことです。
なかなか退職の話が進まないという時は、日付入りのメールや退職願など、形として残る方法で退職の意思をあらためて表明したり、
「退職願(届)を提出したいのですが、退職日は〇月〇日でよろしいですか。」
「退職の手続きを進めたいのですが、どうしたらよいでしょうか。」
などと、率先して退職手続きを進めたりしても良いかもしれません。
本気度が伝わりますし、いざという時に退職の申し出をしたという証拠にもなります。
退職日の決定
退職日は、会社から退職を認められた後、具体的な日付を上司と調整していくことになると思います。
交渉により、会社の都合と皆さんの希望、両方がかなえられる退職日を目指しましょう。
交渉を有利に進めるために、次のことをあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
・会社の就業規則
・転職先企業の入社予定日
・引継ぎに必要な時間
・有給休暇の残り日数
有給休暇が残っている場合、退職前に有給休暇をまとめて取得することが可能です。その場合、退職日とは別に、最終出社日も決めていきましょう。
ただし、円満退職にとって大切なことは、引継ぎを優先させることです。
引継ぎのスケジュールを上司と話し合い、退職期限(入社予定日)までに余裕があるようなら有給休暇の申請を行うと良いでしょう。転職の意思が固まった段階で、計画的に有給休暇を取得してしまうというのも手です。
また、会社の都合により、入社予定日までに退職ができないことも考えられます。その場合は、退職日が決定した時点ですみやかに転職先企業に連絡し、入社日を調整してもらいましょう。
退職手続きの進め方やスケジュールに関する打合せ
退職日が決定したら、
・退職願(届)の提出
・退職手続きの進め方
・引継ぎスケジュールの作成
・周囲への公表のタイミング
などを会社や上司と打ち合わせていきます。
退職願(届)を出すタイミング、退職願と退職届のどちらを提出するのか、書式、提出先などは会社ごとに異なります。上司や人事などに問い合わせながら、就業規則や慣例に則り、決められた手順通りに進めていきましょう。
また、後任者の選定や、引継ぎのスケジュールなども、退職日までに間に合うよう上司とよく調整しましょう。
周囲への公表ですが、特にお客様への伝え方、伝えるタイミングなどは非常にセンシティブな問題です。勝手に進めるようなことはせず、必ず会社の指示に従いましょう。誤解から、信用を失うことにもつながりかねません。
退職交渉は円満退職のかなめ!
退職交渉におけるそれぞれのポイントを見ていただきましたが、言うまでもなく最大のポイントは、いかに上司を味方につけられるかです。
円満退職において最大の協力者となり得るのは直属の上司に他なりません。ですから、たとえ上司や会社に不満を持っていたとしても、上司の心証を悪くするような行動は慎むべきです。
感謝の気持ちや申し訳ないという気持ちを忘れずに、謙虚な態度で退職交渉に臨みましょう。
ただし、会社に配慮するばかりでは退職の話が全く進まないということもあります。周りへの負担を考慮しながら、いかに自分の希望を通すか。腕の見せ所です!