福利厚生の基礎知識
2017.11.7
最近、お仕事探しに福利厚生を重視する人が増えているそうです。福利厚生は生活の質やワークライフバランスにも関わるため、今まであまり気にしていなかったという人にも、ぜひ注目してもらいたいポイントです。今回は、そんな福利厚生について詳しく見ていきましょう。
最近、お仕事探しに福利厚生を重視する人が増えているそうです。
福利厚生は会社によって様々で、その差は賃金の差以上に生活の質に直結することもあるほどです。また、ワークライフバランスの実現にも福利厚生は重要です。今まであまり気にしていなかったという人にも、ぜひ注目してもらいたいポイントです。
今回は、そんな福利厚生について詳しく見ていきましょう。
福利厚生とは
福利厚生とは、会社が、従業員やその家族が健康で安心して働けるように実施している様々な取り組みのことを指します。従業員へ支給される給料以外の報酬と言われることもあります。
主に、従業員の確保、定着、モチベーションアップ、労働能率の向上などを目的としており、会社の福利厚生費から費用が出されます。
会社によってその解釈や範囲に違いはありますが、おおよそ上記のような理解で大丈夫だと思います。
福利厚生は2種類に分けられます
一つは「法定福利」と呼ばれているもの。そしてもう一つは「法定外福利」と呼ばれているものです。この言葉自体を直接耳にすることはないかもしれませんが、福利厚生制度の仕組みを理解するためにぜひ知っておきましょう。
法定福利とは
「法定福利」とは、読んで字のごとくですが、法律で定められた福利厚生制度です。国が労働者を守るために、会社に実施を義務づけている福利厚生制度になります。
法定福利には以下のものがあります。
【社会保険料の負担】
・雇用保険
・労災保険
・健康保険
・厚生年金保険
・介護保険(40歳以上)
社会保険料の一部もしくは全額を会社が負担します。※加入要件あり
このために、従業員は実際よりも低い負担金で社会保険を利用できます。
また、出産育児一時金、出産手当金は健康保険から、育児休業給付金は雇用保険からそれぞれ拠出されますので、女性が安心して働くために必要な福利厚生制度ですね。
【労働基準法上の休業補償】
業務災害・通勤災害後3日間の休業が補償されます。
【子ども・子育て拠出金】
財源となる子ども・子育て拠出金を会社が全額負担するため、従業員とその家族は児童手当や児童育成事業のサービスを受けることができます。
この3つの法定福利に関しては法律で定められているため、会社による違いはありません。ですから、どの会社に就職したとしても、最低でもこれらの福利厚生制度は利用できるというわけです。
ただし、常用雇用の従業員数が5人未満の個人事業所や、加入要件に満たない労働者には社会保険加入義務がありませんので、その点だけお気をつけください。
法定外福利
「法定外福利」とは、法律には定められていない、会社が独自に実施している福利厚生サービスのことを指します。会社に実施の裁量があるため、企業による福利厚生の充実度の違いはここに出てくると言えます。
代表的なものは以下の通りです。
【交通費】
交通費全額支給、交通費一部支給、通勤手当、ガソリン代補助など
【住宅関連】
住宅補助、社宅、持ち家補助など
【家族関連】
家族手当、会社独自の子ども手当など
【医療・健康関連】
健康診断、人間ドックの補助、インフルエンザワクチン接種費用、ストレスチェックなど
【食費関連】
社員食堂、食事券、お弁当代の補助、割引価格の自動販売機の設置など
【被服関連】
制服の提供、クリーニング代の補助など
【社員割引】
自社や関連企業のサービスや商品の割引など
【保険関連】
生命保険、団体長期所得補償保険(GLTD)など
【介護関連】
介護休暇、時短勤務制度、介護相談会の開催など
【育児関連】
育児休暇、時短勤務制度、保育施設の斡旋、事業所内託児所など
【財産形成支援】
退職金、財形貯蓄など
【慶弔関係】
結婚祝金、出産祝金、入学祝金、傷病見舞金、弔慰金など
【文化・体育・レクリエーション】
部活動への補助、社外レクリエーションへの補助、保養所、社員旅行など
会社の規模によって福利厚生にかけられるお金に違いがありますので、一般的に大企業や公務員は福利厚生が充実していると言われています。しかし最近では、会社の大きい小さいに関わらず、従業員の満足度を高めるために工夫した福利厚生制度を実施している企業も多いと言います。
また、交通費、住宅補助、食事補助、社員割引、資格取得や自己啓発の支援などが従業員満足度の高い福利厚生と言われていますので、そのあたりにも注目してみると良いかもしれません。
産休・育休はどうなっているの?
産休・育休については、労働基準法で定められている権利です。福利厚生として制度に記載している会社が多いですが、記載が無くても要件を満たせば(産休は誰でも)取得できますので安心してください。
また、会社によっては法定以上の独自の産休・育休制度、お祝い金の給付、保育施設の斡旋などを実施しているところもあります。求人ページの福利厚生欄に書かれていることもありますので、しっかりとチェックしてみてください。
混同しがちですが、産前休業、産後休業、育児休業には以下のような違いがあります。取得の要件があったり、会社への申請が必要だったりするのでご確認ください。
産前休業
出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、働いている女性であれば誰でも請求すれば取得できます。
産後休業
出産の翌日から8週間は、すべての女性が就業できません。ただし、産後6週間を過ぎた後、本人が請求し、医師が認めた場合は就業できます。
育児休業
1歳に満たない子どもを養育する男女労働者は、会社に申し出ることにより、子どもが1歳になるまでの間で希望する期間、育児のために休業できます。パート・アルバイト、契約社員などの期間の定めのある従業員も取得することができますが、会社によっては、以下の場合育児休業が取れない場合もあります。
・ 雇用された期間が1年未満
・1年以内に雇用関係が終了する
・週の所定労働日数が2日以下
厚生労働省 産休・育休に関するパンフレット(PDF)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/dl/31.pdf
利用の注意点
雇用形態によって福利厚生の利用に制限が設けられていることがあります。求人ページに書かれている内容が自分の希望する雇用形態にも当てはまるか確認しておきましょう。
わからない時は、ビューティーコンシェルキャリアから企業に直接質問することができますので、ぜひご利用ください。
福利厚生には、法定福利と、法定外福利があり、法定福利に含まれる、社会保険などは、従業員数が一定以上の事業所であれば完備されているということはご理解いただけたと思います。
ですから、求人広告に「福利厚生が充実」と書かれている場合は、それ以外の、会社が独自に実施している福利厚生に目を向けてみると良いでしょう。
人によって満足できる福利厚生サービスは違いますが、従業員のためを思って実施される福利厚生制度を見れば、その会社の良いところが見えてくるかもしれません。
ぜひお仕事を探す際は、福利厚生に注目してみてください。