コロナで増加!「退職勧奨」とは?気をつけたい3つのポイント
2020.10.6
「コロナで経営が苦しいから会社を辞めてほしい。」一見解雇通知に聞こえるこの言葉ですが、実は解雇ではなく「退職勧奨」である可能性があります。今日は退職勧奨とは何かを、解雇との違いや退職勧奨を受けた場合の気をつけたいポイントなどと共に見ていきたいと思います。
「コロナで経営が苦しいから会社を辞めてほしい。」
一見解雇通知に聞こえるこの言葉ですが、実は解雇ではなく「退職勧奨」である可能性があります。
同じじゃないの?と思う方もいるかもしれませんが、解雇と退職勧奨は全く別のものです。
それを知らないと退職の際に損をしてしまうこともありますので、いざという時のためにその違いをしっかりと確認しておきましょう。
ということで、今回の記事では退職勧奨とは何かを、解雇との違いや退職勧奨を受けた場合の気をつけたいポイントなどと共に見ていきたいと思います。
「退職勧奨」とは?「解雇」との1番の違い
冒頭でも書きましたが、解雇と退職勧奨には明確な違いがあります。
解雇とは会社側からの申し出による一方的な労働契約(雇用契約)の解除のことをいい、労働契約の終了に従業員の意思は考慮されません。
一方、退職勧奨とは会社側が従業員に対し退職をすすめることをいいます。会社側と従業員双方の同意で労働契約が解除されることを目指します。
解雇との1番の違いは、退職勧奨の場合、退職するかしないかは従業員が自由に決めることができる点にあります。
退職したくない場合は拒否できますし、迷っている場合はその場ですぐ答えを出す必要はありません。
退職を求められると動揺してしまう方も多いと思いますが、そのことはしっかりと覚えておきましょう。
また、冒頭のように「コロナで経営が苦しいから会社を辞めてほしい。」と上司や経営者から告げられた場合、それが拒否できない解雇予告なのか、拒否できる退職勧奨なのかを判断するために、必ず確認するようにしましょう。
退職勧奨を受けた時に気をつけたい3つのポイント
新型コロナウイルスの影響で、退職勧奨を行う会社が増えているそうです。
そうあってほしくはありませんが、いざ退職勧奨を受けた場合に冷静に判断できるよう、気をつけなくてはいけないポイントを見ていきたいと思います。
1. 退職の承諾
まず1つ目は、いわれるままに退職届にサインしたり退職を承諾したりしないことです。
これは会社側から「辞めてほしい」と言われ、解雇だと勘違いしてしまった人が陥りがちなミスです。
たとえ勘違いだとしても、1度退職を承諾してしまうと双方合意の上での退職という扱いになりますので、不利な条件での退職となってもそれを覆すことはほぼできないと考えてください。
必ず解雇なのか退職勧奨なのかを確認し、納得したうえで退職を承諾してください。
※原則解雇の場合退職届にサインする必要はありません。解雇なのに退職届の提出を求められた場合、その理由を確認しましょう。
2. 退職交渉
2つ目のポイントは退職を承諾する場合にしっかりと退職交渉を行うことです。
ここをおろそかにすると不利な条件での退職を迎えることになってしまう可能性があります。
というのも、会社側と従業員双方が同意した退職には、解雇の時のような厳密に定められたルールがないからです。
解雇の場合にはある30日前の解雇予告や30日分の賃金の補償(解雇予告手当)なども当然ありません。必要だと思う場合、自分で交渉する必要があります。
退職日の希望や有給休暇の消化など、できるだけ自分が納得できる内容を導きましょう。
また、会社によっては退職勧奨で退職金の支払いや上乗せなどを提案してくれる場合もあります。自分が納得できるかどうかで判断してください。
3. 迷ってる・退職したくないとき
そして3つ目のポイントは、迷っている・退職したくない場合の対処法です。
退職勧奨はあくまで退職をすすめるものですから、迷っている場合は即答を避け、家族に相談したいなどの理由で待ってもらいましょう。
これからの生活にかかわることです。慎重に判断するのが良いと思います。
退職したくない場合はきっぱりと「退職しません。」と伝えることが必要です。
その時に退職勧奨の理由を確認しておきましょう。
なぜ今なのか、なぜ自分なのか。
自分に落ち度がある場合は改善する旨を一緒に伝えるのも良いでしょう。
ただし、コロナで経営が苦しいなどといわれた場合には注意が必要です。その場合いずれは退職勧奨ではなく整理解雇になることも考えられるからです。
コロナ禍の今は特に大変な時です。退職勧奨をされた際は、冷静に会社の経営状況などを見極めるようにしましょう。
もし今後に不安を覚えるようでしたら少しでも有利な条件で退職することや転職を検討する必要があるかもしれません。
退職勧奨の「離職理由」は?失業手当を受給する
現在コロナの影響で政府による支援制度が充実していますが、退職後に頼りになるのはやはり失業手当になるでしょう。
そんな失業手当の受給に関わる「離職理由」には、会社都合退職と自己都合退職があります。特別な理由がない限り、会社都合退職の方が手厚い補償が受けられます。
解雇の場合は会社都合退職になりますが、退職勧奨による退職の場合はどうなるのでしょうか?
退職勧奨を受け入れた場合、原則として解雇と同じ会社都合退職になります。従業員が退職するかしないかを自由に決められる退職勧奨も会社からの申し出による退職というように判断されるからです。
退職後に離職票が届いたら必ず確認しておきましょう。もし自己都合退職になっている場合は、会社に相談するか、ハローワークに行ってその旨を伝えましょう。
ただし、退職勧奨後、自分から改めて退職を申し出た場合などは自己都合退職と判断される場合があります。退職勧奨を受け入れる際に確認しておくと安心です。
退職勧奨なのに退職を強要されたら?
残念ながら退職勧奨を実質的な解雇だと都合よく考えている経営者もいます。
そういった経営者は、退職を拒んでも繰り返し退職勧奨を行ったり、パワハラを行い会社に居づらくさせたりということをする場合もあります。
このような行いは退職勧奨ではなく退職強要とみなされます。
困ったときには専門的な相談窓口等をぜひ活用してみてください。
https://www.beauty-concier.com/articles/bcc200422/
退職勧奨だけでなく、コロナにかかわるさまざまな労働問題の相談にも対応しています。
withコロナの時代、退職勧奨は誰にとっても関係する可能性があります。
いつでも冷静な判断ができるよう、必要な知識を身につけることを心がけるようにしましょう。
自分や家族を守ることにつながるはずです。