短歌にみる植物物語 ~8月 向日葵(ひまわり)~
2019.8.2
太陽をイメージさせるような大輪の花を咲かせるひまわり。見ているだけで元気をもらえるような気がしますが、実はひまわり、食品としても非常に高い栄養効果が認められているそうです。「短歌にみる植物物語」、今月はひまわりの力強さを感じさせる一首と、ひまわりの利用効果をご紹介します。
長い梅雨が終り、やっと夏らしい日がやって来たと思ったら、いきなり酷暑の日々。尋常ではない急激な暑さに心身共に悲鳴をあげているこの頃です。
皆さん熱中症にはお気をつけください。
さて、盛夏の植物として一番に思い出すのが向日葵(ひまわり)ではないでしょうか?
今月は、ひまわりの力強さを感じさせる一首とともにひまわりの利用効果についてもお届けします。
短歌にみる植物物語 ~8月 向日葵(ひまわり)~
向日葵は 金の油を 身にあびて ゆらりと高し 日のちひささよ -前田夕暮
【読み】
ひまわりは きんのあぶらを みにあびて ゆらりとたかし ひのちいささよ
【意味】
向日葵は、まるで金の油を身に浴びたように陽の光を受けて輝きながら立っている。ゆらりと高く伸びた背の向こうにある太陽を眺めると、なんと太陽が小さくみえることか。
夏の太陽の光を浴びて、ぐんぐんと成長したひまわりの堂々とした力強さと、キラキラ輝いているような美しさを感じる歌です。
太陽の光を「金の油」と表現したことで、パサパサ感ではなく、ツヤツヤキラキラした感じ、またはギラギラした真夏の空気が伝わってくるようです。
青空を背景にして咲くひまわりの、青と黄色の色彩のコントラストも目に浮かんで、その情景から元気をもらえるような気がします。
前田 夕暮(まえだ ゆうぐれ)1883(明治16)-1951(昭和26)
ひまわりの短歌を詠んだ前田夕暮は、明治から昭和にかけて活動した歌人で、後には定型短歌に復帰したのですが、昭和初期には口語自由律短歌を推奨していました。
自然の情景や日常の有様をわかりやすい言葉で詠んだ歌が多いのが特徴です。
この歌は大正3年の作品。ひまわりは彼の好きな花だったようで、明治40年に発刊した自身の歌誌は、『向日葵(ひぐるま)』と名付けられています。
ひまわりの利用法と効果
ひまわりはキク科の1年草。
ひまわりの種から採られる油はアロマセラピーでもよく使われるサンフラワーオイルです。
中国では「向日葵(コウジツキ)」と呼ばれて、薬として利用されています。
薬用効果としては、種の入っている花托の部分は頭痛・歯痛・腹痛・月経痛など痛みの緩和作用、根には整腸作用、葉と花には健胃作用があるとされています。
ただし、ひまわりの花には分娩促進効果があるので、妊婦さんには禁忌だそうです。
私たちにとって馴染みのあるひまわりの利用法は、やはり種と種から採れるオイルでしょう。
ひまわりの種の栄養効果
ひまわりが開花してから1カ月半くらいすると、種の収穫時期になります。
炒って食べたり、搾って採った油を食用や化粧品の材料として使ったりします。
日本ではペットのエサと言う印象が強く日常的に食べる習慣はあまりありませんが、非常に栄養効果が高いので、アメリカではアスリートの栄養補助食品として、中国ではおやつとしてよく使われています。
ひまわりの種には、三大栄養素やビタミンやミネラル分が豊富で栄養効果がたくさんあります。
- コレステロール値を下げ、血液をサラサラにする作用があるので、生活習慣病や動脈硬化や高血圧の予防になります。
- ビタミンEの抗酸化作用で、老化防止や美肌作用があります。
- 葉酸の作用で免疫力を高めます。
- トリプトファンが含まれているのでウツ傾向の方にも良いようです。
皮を剥いて食べますが、甘味があって美味しいです。
ただしカロリーが高いので食べ過ぎには注意が必要です。1日20粒くらいまでが目安のようですよ。
ひまわり油(サンフラワーオイル)の特徴と効果
ひまわり油には、必須脂肪酸であるオレイン酸やリノール酸、ビタミンA,D,E,ミネラルなどが含まれていて健康や美容に効果的だとされています。
ひまわり油は食用すると、種と同様の効果が期待できます。
ひまわり油の外用効果には次のようなものがあります。
- ビタミンEの抗酸化作用で、抗加齢効果が期待できます。
- 保湿作用が高いので美肌を保ち、肌荒れを予防します。
- ヘアケアにも適していて、切れ毛やパサつきなどの髪のトラブルを改善します。
- 炎症を抑える作用があるので、打ち身などの痛みと赤みの解消に役立ちます。
真夏の太陽のもとで元気に花を咲かせるひまわりは、その元気成分を私たちにも分けてくれているのですね。
夏の疲れを貯めないように、ひまわりの種とオイルを効果的に活用したいと思います。