日本の春を象徴する桜。
膨らんでいく蕾の可憐さ、満開の美しさと妖艶さ、散りゆく儚さと潔さ…
日本人がこよなく愛する風景です。
4月の薬湯は、その桜を使った「桜湯」です。
桜という言葉の由来や桜湯の作り方、その美容効果などをご紹介します。
「桜-さくら-」の由来
桜の言葉にはさまざまな由来があります。
・「サク=咲く」「ラ=群がる様」
たくさんの花が集まって咲くことから「サクラ」となったという説。
・「サキウラ=割末・咲梢」
「サキ」は花びらの先が割れている様を表し、「ウラ」は「モト(本)=幹」に対して末や端を表すことから「梢」の意味で、枝に先の割れた花が咲くことから生まれた名前であるとされる説。
・「サ=穀物・穀物の神」「クラ=座・神様のいる場所」
民俗学的には、穀物の神様がいる場所という意味とされています。かつては桜の樹の元にお供えをして、神様に豊作を祈ったとされています。
これが現在も行われている花見の起源になるとのこと。本来は神様に採れた作物やお酒をお供えするものでしたが、今では自分にお供えしてしまっていますね。
・木花開耶姫(このはなさくやびめ)の「サクヤ」が転じて「サクラ」になったという説
古事記に木花開耶姫(このはなさくやびめ)が富士山から花の種を撒き桜になったとの記述があるため「サクヤ」が転じて「サクラ」になったという説。
富士山と桜は、私たち日本人が大好きな風景ですよね。日本の原風景として神話の時代から神と人との繋がりを象徴しているたので、特別な思いを抱かせるのかもしれません。
このように語源や神話や逸話がたくさんあるのも、桜の圧倒的な美しさのせいなのでしょう。
桜湯の作り方。樹皮を使って効果がアップ!
「桜湯」と聞くと「桜茶」を思い起こす方が多いのではと思います。
お祝い事の席で出される、桜の花を塩漬けにしたものをお湯に浮かべるお茶です。
見た目の美しさと、ほんのりとした香りと塩味がお祝いの席を盛り上げてくれます。
咲いている桜には香りがほとんどありませんが、塩漬けにすると香り成分が分解されて、かすかに甘い香りを放つようになるそうです。
桜の花には美容効果もあるそうなので、甘い香りの「桜花のバスソルト」なんて素敵ですね。
薬湯も花を使うのかな…?と思いがちですが、使用するのは樹皮です。
花にも美容成分が含まれていて化粧品などにも配合されていますし、葉にも薬効がありますが、花や葉よりも樹皮に薬効が多くあるそうです。
「桜湯」は、樹皮を乾燥させ煮出して使います。
【桜湯の作り方】
①樹皮20g程度を細かくちぎって乾燥させます。
②布袋などに入れて15分~20分煮出します。
③お風呂に入れます。
綺麗な花びらも数枚入れると雰囲気が出ますね。
桜湯の効果
春先に起こりがちな皮膚トラブル。桜湯には湿疹や炎症を抑える効果があるとされています。
また、桜湯は冷え性にも効果があるので、現代女性には役に立つ薬湯です。
桜の樹のあるお家は少ないと思うので、お花屋さんで売っている桜や、漢方薬局にある「桜皮」を使うこともできます。
我が家にも桜の樹はないので、お花屋さんで買ってきた桜の枝を花瓶に飾っています。
桜の花を楽しんだ後に桜湯も楽しんでみようと思っています。
さて、本格的なお花見のシーズン到来です。
夜桜を見ながらの酒宴は楽しいものですが、かつてはその妖艶な美しさからか、夜桜の下を歩くと魂を抜かれると言われていたそうですよ。
皆さまもお気をつけて!