日本の薬湯十二ヵ月 ー7月 桃の葉湯ー
2017.7.1
季節に合ったさまざまな薬湯をご紹介するシリーズ「日本の薬湯十二ヵ月」。7月の薬湯は「桃の葉湯」です。桃の葉は、あせもや日焼けなどの肌トラブルや、エアコンで冷えた体を温め循環を良くするなどの効果が期待できます。この季節の不調を桃の葉湯で改善しませんか?
沖縄地方を除いた日本各地は梅雨真只中。
湿度も気温もぐんぐん上がり、汗ばむ季節の到来です。
暑さで体が弱るこの季節に「土用の鰻」と共に、江戸時代から人々に親しまれている習慣に「桃の葉湯」があります。
7月はその「桃の葉湯」をご紹介します。桃の葉の薬湯にはどんな効果があるのでしょうか?
桃の特徴
桃は中国原産のバラ科の植物。落葉小高木。3月頃に花を咲かせ、6月~7月に実がなります。
花は観賞用として、実は果物として私たちに馴染みのある植物ですね。
【生薬として】
生薬としては、桃の実の中の種から採られるトウニン(桃仁)、花や蕾を煎じて採られるハクトウカ(白桃花)などがあります。
他の生薬と合わせて瘀血(おけつ)による婦人科系の疾患や、高齢者の便秘などに効果があるとして広く使われています。
桃の実と桃の葉の効果・効用
【桃の実の効果・効用】
中国では古くから長寿の象徴とされていた桃の実。仙人が絵で手に持っている果物は「不老長寿の仙果」とされている桃だそうです。
桃の実には、三大栄養素の代謝に必要なナイアシン、ビタミンE、ビタミンCが含まれていて、疲労回復や代謝の促進に役立ちます。ただ糖質も多いので、糖尿病の傾向がある方は大量に食べないようにした方がよさそうです。
【桃の葉の効果・効用】
桃の葉はお茶として飲用したり、外用として皮膚に塗布したりと幅広く利用できます。
◆お茶として
桃の葉茶には、マグネシウムやタンニンやカリウムが含まれています。
マグネシウムは血管を柔らかく拡張させることから、血液循環の改善や血圧を低下させる働きがあり、ポリフェノールの1種であるタンニンにも抗酸化作用があり、コレステロールによる血管の硬化を改善して血液循環を促進する効果があります。
また、カリウムとマグネシウムには利尿作用があるため、むくみの改善に役立ちます。
その他、皮下脂肪の分解、整腸作用、生理痛の緩和にも役立つ成分が含まれています。万能ですね。
◆外用として
外用として利用される桃の葉エキスには、消炎作用、抗菌作用、収斂作用、保湿作用、抗酸化作用があるので、あせも、湿疹、肌荒れ、ニキビ、日焼けのケアなど幅広く活用できます。
赤ちゃんのあせも(汗疹)に「桃の葉ローション」を使ったという方も多いのではないでしょうか?私も子育て時期にはお世話になりました。
赤ちゃんだけではなく、大人のスキンケアとしても優れているということですね。
「桃の葉湯」の効果
桃の葉湯には以下の効果が期待されます。
- 赤ちゃんのオムツかぶれ改善
- あせも、湿疹を改善
- 肌荒れ、ニキビの改善
- 日焼けのほてり緩和
- 虫刺されの痒みと腫れの緩和
- エアコンで冷えた体を暖め循環を良くする
- 美肌作り(お肌のキメを整える)
桃の葉湯の作り方
桃の葉湯には、生の桃の葉を煮出して使う方法と、乾燥させた桃の葉をそのままお風呂に入れる方法があります。
~その1~
生の葉20枚程度を布袋に入れ弱火で10分~15分程煮出して、煮汁ごとお風呂に入れる。
~その2~
集めた葉を軽く水洗いをして乾燥させ、乾燥した葉を布袋に入れそのままお風呂に入れる。
簡単「桃の葉ローション」の作り方
- 乾燥させた桃の葉5gを500mlのお水に入れ沸騰させる
- 沸騰したら弱火にして約10分間煮出す
- 葉を濾して完成
桃の葉ローションはあせもや日焼けなど、ちょっとした皮膚トラブルに効果的です。
ただし、防腐剤などは入っていないので、すぐに使い切ってください。
塗布して余ったローションは、そのままお風呂に入れれば一石二鳥ですね。
汗ばむ季節の肌トラブル。
下着などの衣類と接触する肌の部分が赤くなったり、肘の内側や膝を曲げる部分の汗が乾きにくくて痒みが出たり、そんな不調を「桃の葉湯」で改善してみてはいかがでしょう。
先人の知恵は、現代社会を生きる私たちにも大きな恵を与えてくれます。
植物と仲良く暮らしていきたいですね。