美容師が解説!トリートメントの正しい使い方や注意点とは
2025.2.21
髪の健康と美しさを保つために欠かせないアイテムの1つがヘアトリートメントです。
正しい使い方を知らなければ、その効果を十分に引き出せないこともあります。
今回はヘアトリートメントの役割から効果的な使い方、髪質に合わせた選び方まで詳しく解説します。

トリートメントとは
ヘアトリートメントは、髪の内部や表面に作用し、ダメージを擬似的に補修するためのヘアケア製品です。
シャンプーで汚れを落とした後に使用することで、髪の潤いをキープし、柔らかく仕上げる効果があります。
また、髪表面のキューティクルを整えることで摩擦を軽減できることで、手触りを滑らかにしたり、ツヤを出す働きもあります。
トリートメントの役割
ヘアトリートメントには、主に化学処理(ヘアカラーやパーマなど)や外部刺激などによるダメージを受けた髪を改善する役割があります。
髪には、以下のようなダメージ要因があり、ヘアトリートメントにはこれらのダメージ要因から髪を守るはたらきがあります。
- 紫外線
日光に含まれる紫外線は、髪のたんぱく質を分解し、乾燥や褪色を引き起こします。髪の表面だけが明るくなってしまうのはこれが原因です。 - 化学処理
ヘアカラーやパーマなどの施術は、髪の内部構造に影響を与え、切れ毛や褪色を引き起こします - 熱ダメージ
ドライヤーやヘアアイロンの熱は髪のたんぱく質を変性させ、硬くなり、乾燥をさせて脆くします。 - 摩擦
タオルドライや寝具による摩擦が、キューティクルを傷つけることがあります。
これらのダメージから髪の健康と美しさを維持するために、以下のような役割をもつヘアトリートメントでの髪の補修は欠かせません。
- 髪内部への栄養補給
髪の構造を補修する成分がダメージホールを擬似補修し、髪の内側からダメージをケアします。 - 保湿
乾燥した髪に水分を補い、潤いを閉じ込めることで、髪のパサつきを防ぎます。 - キューティクルの保護
髪表面のキューティクルを整えることで、ツヤを与え、摩擦や外部の刺激から守ります。
トリートメントはいつ使うのが正解?
ヘアトリートメントはシャンプーで汚れを落とした後に使用します。
シャンプー後の清潔な髪の毛に吸着しやすいようにできているため、必ずシャンプー後に使用するようにしましょう。
サロンワークでお客様にヒアリングしていると、「ヘアコンディショナーをした後にヘアトリートメントを使用している」といった方もいますが、この使用方法では、ヘアトリートメントの効果が薄くなってしまう恐れもあります。
ヘアコンディショナ―とヘアトリートメントの使用については、同日ではどちらか一方のみで構いません。
ミドルダメージの方であれば、ヘアコンディショナーを日常使いとして使用し、ヘアトリートメントを週に1〜3回で使用するのがおすすめです。
トリートメントの効果的な使い方

ヘアトリートメントの効果を最大限に発揮するためには、正しい手順で使用することが重要です。基本的な使い方を解説します。
1.シャンプー後の水気を切る
シャンプーで頭皮や髪の汚れを落とした後、髪に残った水分をタオルで軽く押さえます。髪が濡れすぎていると髪への吸着が甘くなり、効果が半減してしまうことがあります。滴るほどの状態は避け、適度に水分をとっておきましょう。
2.適量を手に取り、毛先を中心に塗布
ヘアトリートメントの量は、製品の指示に従いましょう。サロンのお客様に説明する目安は
- ショートヘア:5円硬貨くらい
- ミディアムヘア:100円硬貨くらい
- ロングヘア:500円硬貨くらい
まずは手のひらに取り、両手で伸ばしてから、髪の中間から毛先にかけて均一に塗布します。
髪全体に行き渡るようにトリートメントコームなどの荒目のコームでとかすことで、トリートメントのつきムラを防ぐことができ、質感が良くなります。 特にダメージが気になる毛先はしっかり馴染ませましょう。
3.頭皮への塗布は避ける
ヘアトリートメントは髪専用の製品であり、頭皮に塗布するものではありません。頭皮に直接塗布してしまうと、毛穴を詰まらせ、頭皮トラブルを引き起こす可能性があります。
特に、頭皮がベタついていると感じる方は、頭皮にヘアトリートメントをつけてしまっていないか、日々のヘアケアを見直してみてください。
4.放置時間
製品の指示通りの時間を置いてください。中には時間を置く必要がないものもありますので、放置時間はしっかり確認しましょう。
放置時間を稼ぐために、先に体を洗ってしまう方がいますが、洗った体に上からヘアトリートメントの成分が流れることで、毛穴を詰まらせ、背中ニキビなど皮膚トラブルを引き起こす可能性がありますので、注意しましょう。
5.しっかりと洗い流す
放置後、38℃くらいのぬるま湯でしっかりと洗い流します。洗い流しが不十分だと髪がベタつき、逆に手触りが悪くなってしまったり、ドライヤーで乾かす時になかなか乾かなくなります。
髪にぬめりが残らないよう、しっかり洗い流しましょう。
【頻度】トリートメントは毎日した方がいいの?
多くのヘアトリートメントは毎日の使用が可能です。
ただし、髪質によっては、使用頻度を減らしたほうが良い場合もあるため、ご自身の髪の状態を見極めながら使用しましょう。
トリートメント使用の見極めが難しい場合は美容師にご相談ください。
【適切な種類と量】髪質やダメージに合わせたものを選ぼう
髪質や悩みによって、選ぶべきヘアトリートメントは異なります。
適切な製品を選ぶことで、より効果を実感しやすくなります。
1.ダメージヘアの場合
ダメージが進行した髪には、補修効果が高いヘアトリートメントが適しています。「ケラチン」「アミノ酸」「セラミド」などの成分が多く配合されているものを選びましょう。
2.乾燥が気になる髪の場合
乾燥によるパサつきには、保湿効果が高いヘアトリートメントがおすすめです。「ホホバオイル」「シアバター」などが含まれる製品を選びましょう。
3.ボリュームを抑えたい場合
髪が広がりやすい方は、重めの仕上がりになる製品がおすすめです。「しっとりした仕上がり」「シリコン入り」のヘアトリートメントを使用してみてください。髪の表面をコーティングしてまとまりがよくなります。
4.ボリュームを出したい場合
細くペタンとしやすい髪には、軽い仕上がりの製品が良いでしょう。「シリコンフリー」や「ボリュームアップ」と明記されているものを選ぶと効果的です。
5.男性の場合
基本的には、ヘアトリートメント・ヘアコンディショナーは使用しなくても問題ありません。ボリュームが上手く出ず、スタイリングがしにくくなる場合があります。
ブリーチカラーなどのハードダメージがあって使用する方は、頭皮につかないように使用してください。
トリートメントの種類と選び方
洗い流さないトリートメント
大きく分けて3種類に分けられます。髪の状態、ヘアスタイルに合ったものを選びましょう。
1.ミストタイプ
油分が少なく軽い仕上がり
2.ミルク・クリームタイプ
程よい重さの仕上がり
3.オイルタイプ
ほとんど油分でできており、しっとりとした重めの仕上がり
と分けられます。髪の状態、ヘアスタイルに合ったものを選びましょう。どれも髪の表面を保護し、摩擦や紫外線、熱ダメージを防ぐことを主な目的としています。
また、髪の手触りをよくし、ツヤを出し、質感向上をサポートしてくれます。
次のシャンプーまで髪に残っている状態になるのでため、ダメージヘアが気になる方は、補修効果が高い製品がおすすめです。
洗い流すトリートメント
シャンプー後の髪に馴染みやすく、ダメージを補修し、柔軟性を与えてくれます。
髪質に合った製品を定期的に使用することで、徐々に髪の内部が健康的な状態に近づきます。
洗い流すトリートメントであっても、何度も言いますが、頭皮や肌には液体を残さないように気をつけましょう。
男性向けのトリートメント
前述した通り、男性はヘアトリートメントを使わなくても問題ありません。代わりに、頭皮に使える化粧水や頭皮用美容液などがおすすめです。
頭皮を保湿し、健康に保つことで、薄毛対策になります。
美容院のトリートメントは何が違う?
美容院で行うヘアトリートメントは「システムトリートメント」と呼ばれ、数種類のトリートメント剤を重ね付けし、温熱効果を利用したり、放置時間をしっかり置いたりすることで、より高い補修効果と持続性を持ちます。
市販品と比べ、美容院で販売されているホームケア用ヘアトリートメントは、高濃度で持続性の高いものが多くあります。
髪のダメージが気になっていて、市販のヘアトリートメントの質感に満足していない方は、ぜひサロン専売品のヘアトリートメントをお試しください。
トリートメントを効果的に使うための注意点
トリートメントを効果的に使うためには、以下の3つの注意点を確認しておきましょう。
1.定期的な使用
ヘアトリートメントは1回の使用でも効果を感じることがありますが、継続して使うことで、髪質改善やダメージ補修などにつながります。
一方で、髪のボリュームが足りないとお悩みの方には、使用頻度が高すぎると、さらにボリュームが減ってしまう恐れもあります。髪のダメージや状態に応じて、使用する頻度を調節してください。
2.集中ケアアイテムとの併用
特に髪のダメージがひどい状態の場合は、ヘアマスクや集中トリートメントを週に1回程度で併用すると効果的です。
3.使用後のヘアケアも重要
トリートメント後は、髪を乾かす際に適切な方法を心がけましょう。
熱によるダメージを防ぐため、ドライヤーは髪から20~30センチほど離して使用し、しっかり乾かしてください。低温で、早く乾く威力を持つドライヤーの使用をおすすめします。
トリートメントを放置しすぎるとどうなる?
放置しすぎても特に問題はありません。
ただし、放置している間に頭皮や首、背中などにヘアトリートメントが垂れてしまう可能性があります。
皮膚が荒れるなどの肌トラブルのもとになりますので、長時間放置する際はヘアキャップを付けるなどの対処をしてください。
トリートメントをすすぐ際の注意点
シャンプーのすすぎと基本は同じです。指の腹を使い、頭皮を傷つけないようしっかりとすすいでください。
また、トリートメントが髪に残らないよう、必ずしっかりすすぎましょう。
まとめ
ヘアトリートメントは、髪を美しく健康に保つための必須アイテムです。
正しい使い方を実践し、髪質に合った製品を選ぶことで、見違えるような仕上がりを得られます。毎日のケアを丁寧に行い、ツヤと潤いのある美髪を手に入れましょう。
シャンプーソムリエのあとがき
毎日行っているヘアケア。誰に教わるわけでもなく、誰かと比べることもなく、自分自身のやり方が当たり前になっていると思います。
この記事を読んでいただいて、ご自身のヘアケアを見直してみてください。
今まで以上に美しい髪が手に入るかもしれません。
自分の髪質やダメージレベルの判断がつかない場合は、お近くのシャンプーソムリエにご相談ください。