シャンプー剤には何が入っているのか、中身のお話
2021.12.13
こんにちは。シャンプーソムリエ講師の淡輪です。
シャンプー剤に限らず、化粧品などを見てもラベルにずらりと記載されている成分表示。
中々馴染みの無いワードが並んでいますが、今回は皆さんがシャンプー剤を選ぶときに参考となるように、普段使われているシャンプー剤にはどのような成分が配合されているのか、そして簡単な洗浄成分(界面活性剤)の見極め方や目的に応じた選び方をご紹介させていただきます。
ご存知の方も多いかと思いますが、2001年4月から医薬部外品を除く全ての化粧品には全成分表示が義務づけられました。
中々馴染みのない成分名がずらりと書いてあるかと思いますが、これにより、全ての成分は配合量の多い順に記載することになったので、商品パッケージやボトルに記載されているシャンプーの成分表を見れば、何が入っていて、何が一番多く入っているかすぐにわかるということになります。
ただし、1%以下の成分は順不同で記載して良いことになっています。
シャンプー剤の構造はどのようになっているのか
シャンプー剤の構造は、図を見ていただくとわかる通り、商品によって多少の差はあるものの60%~80%が水、残りの20%~40%が成分で構成されています。また、水以外の成分(黄色の部分)の内訳としては、70%を界面活性剤が占めており、残りの30%はその他の成分となっています。
シャンプーは、水の次に多い界面活性剤の特性が強く出るため、シャンプーを見極めるために界面活性剤について考えることが重要ということになります。
シャンプー剤に使われている界面活性剤とはどんなものなのか
「界面活性剤」と文字面だけ見ると難しい感じがしますが、水と油のような混じり合いにくいものを混ざり合うように手助けするものです。
例えば、頭を洗う時、水では流せない頭皮の皮脂などに界面活性剤がくっつき、シャワーで汚れと一緒に流れてくれます。しっかり流さないと頭皮に界面活性剤がくっついたままになるので、注意が必要で、下記のように肌質に合わせた見極めが大切になってきます。
- 脂性肌の方 ▶︎ 脱脂作用が強い界面活性剤
- 乾燥肌の方 ▶︎ 脱脂作用が弱い界面活性剤
また、頭皮だけではなく、髪にも脂があるため、その脂を取りすぎると髪のダメージに繋がるので注意が必要です。
界面活性剤別に比較。洗浄成分の見極め方
聞いたことがない単語だらけという方が多いと思いますが、一般的によく配合されている界面活性剤として下記が挙げられます。
比較的洗浄力が高い界面活性剤
- ラウレス硫酸Na
- スルホコハク酸ラウレス2Na
- αオレフィン(C14ー16)スルホン酸Na
適度な洗浄力がある界面活性剤
- ラウレスー4カルボン酸Na
- ココイルメチルタウリンNa
マイルドな洗浄力をもつ界面活性剤
- ラウロイルメチルアラニンNa
- ココイルグルタミン酸TEA
ダメージヘアの補修力が高い界面活性剤
- ココイル加水分解ケラチンK
これらを組み合わせることにより、様々な特性を持ったシャンプーが作られます。例えば、カラー後のシャンプーとしては色落ちを防ぐために、コカミドプロピルベタインなどを使用したシャンプーがおすすめだったりと上に挙げた界面活性剤だけでなく、目的によって選択すべきシャンプー剤が変わってきます。詳しくは下記の記事に詳しく書かれているので読んでみてください。
界面活性剤以外でシャンプー剤に良く使われる配合成分と配合目的
ここからは界面活性剤以外でシャンプーによく配合されている成分を見ていきたいと思います。
・増粘剤:
シャンプー剤の粘度を上げるのに使用されます。コカミドDEAなどです。
・コンディショニング剤:
手触りやツヤを向上させます。ポリクオタニウム-10やホホバ油などです。
・防腐剤:
菌の繁殖を防ぎます。フェノキシエタノールやメチルパラベンなどです。
・酸化剤:
成分の酸化を防ぎます。BHTやトコフェノールなどです。ph調整剤はphを調整します。クエン酸や水酸化Naなどです。
・キレート剤:
水の中に金属イオンであるカルシウムイオンや鉄イオン等が多量に存在すると、お風呂場でシャンプーを泡立てようと思っても泡立たなかったり、きしみが生じます。そこで、キレート剤が金属イオンに結合しその働きを無効化します。EDTA-2Naやエチドロン酸などです。
・植物エキス:
多種多様な有効成分を含んでいます。同じ植物であっても部位や採取地、精製法などによって成分の種類が異なり、作用や効果の種類も異なります。アロエエキス、カンゾウ根エキスなど
・PPT:
タンパク質を加水分解して小さくしたものです。毛髪保護、補修を目的に配合されています。ケラチンPPTやコラーゲンPPTなどがあります。
・香料:
香りづけです。
以上のような成分と水がバランスよく配合され、シャンプーは作られています。洗浄成分の他に、製品を安定させるものや、指通しをよくして洗いやすくする成分など商品の目的に合わせて配合されています。
シャンプー剤の良し悪しは自分に合っているか
シャンプーソムリエのミッションのひとつに、「商品の良し悪しよりも製品用途を見つけ出す」という項目があります。
これが入っているからダメだとか良いんだというより、このシャンプーはこういう方向けに作られてるんだなと読み取り、合った方に商品をおすすめするということです。
シャンプー選びで一番良い方法は、お客さまのことをよく理解されている担当美容師さんに聞くことだと思いますが、もし、ご自身でシャンプー選びをされる上で表示成分をご覧いただく機会がございましたら、今回の記事をご参考いただけると嬉しいです。
シャンプーソムリエアカデミー認定講師
淡輪雄希
tsubomi +
オーナースタイリスト兼シャンプーソムリエ