シャンプー剤に配合されているシリコーンは悪なのか?否か?
2021.4.15
こんにちは。シャンプーソムリエアカデミー講師の上田明弘です。
私は理・美容師のWライセンスを持っていまして、理・美容室を経営し実際にサロンにも立っているのですが、そのサロン現場でお客様によく聞かれる「ノンシリコーンシャンプーの方が良いんでしょ?」と言う質問をよく受けます。
シャンプー剤やトリートメント剤に配合されるシリコーンは本当に悪なのか!?今回はそのシリコーンについてのお話です。
シリコーンが毛穴を詰まらせる!?
シリコーンが毛穴を詰まらせるので頭皮には良くない!
ネットからの情報なのか、そう仰っているお客様がいらしたのですが・・・実際には詰まることはありません。
今の市場で使われているシリコーンは水溶性で、シャンプー後やトリートメント後のお流しがしっかりできていたら問題ありません。結論から言いますと、シリコーンはそれほど悪者ではないのです。
ただし、気をつけなくてはいけないのは、毛穴に皮脂が残っていて酸化した脂(酸化脂質)がある場合です。なぜならその酸化脂質も脂であり、シリコーンも油の一種なので非常に馴染みやすく、毛穴に残っていた酸化脂質と一緒に残留してしまう場合があります。ですので、シャンプー時には髪より頭皮を中心によく流し、毛穴に皮脂を残さないように気をつける必要があります。
洗い流さないトリートメントに配合されている場合は注意が必要
洗い流さないタイプのトリートメント(アウトバストリートメント)にシリコーンが配合されている場合、洗い流さないのでダイレクトに髪に残るわけですが、通常であればそれもシャンプー時には流されるので、問題ありません。
ただし、アイロン(コテ)を使ってスタイリングされる方は注意が必要かもしれません。なぜならシリコーンがアイロンによる高熱で溶けて髪に焼き付けられ、髪がポッキーのチョコレートでコーティングされた状態のように硬くなってしまうからです。
そうなると、パーマがかかりにくい、ヘアカラーが思うように染まらないなんてことも美容室の現場ではあるので、アイロンを使う方はノンシリコーンタイプのものを使っていただいた方が良いかと思います。
では、色々とデメリットもあるシリコーンですが、それでも多くのヘアケア剤に配合されているのは何故なのでしょう?
実は、髪の摩擦軽減のためなのです。シャンプーする時に髪が擦れたり絡まったりしますが、その感触や指通りをよくするために配合されているのです。ですので、決して悪者ではないのです。
シャンプーソムリエ的、シリコーン入り・ノンシリコーンシャンプー剤についての見解
シリコーンは油で、化粧品を作る成分の役割として、先ほどの「摩擦軽減剤」として使われる他に「消泡剤」としても使われます。化粧品成分を混ぜ合わせると泡立つことがあるのですが、その泡を早く消すために「消泡剤」としてシリコーンを混ぜるのです。
この「泡を消す」というシリコーンの特性を踏まえると、当然、シリコーンが配合されているシャンプー剤は泡立ちが悪くなるということになります。そうすると、その泡立ちを落とさない為に、別のもので補おうと洗浄力の高い界面活性剤(洗浄成分)を使用するケースが結果として多くなるわけです。
洗浄力の高い界面活性剤は髪や肌に必要な脂分までも取りすぎる傾向にありますので、乾燥を招く傾向にあります。そのため、乾燥肌タイプの方はノンシリコーンタイプの洗浄力が穏やかなシャンプー剤を選ばれた方が良いと思います。
一方、ブリーチ毛のようなハイダメージの毛髪にはシリコーンはとても有効ですので、シリコーン配合のトリートメントや洗い流さないトリートメントを使うと良いですね。
総合的に考えると、シャンプー剤はノンシリコーンタイプがおすすめですが、毛のダメージ度合い次第では摩擦軽減目的でシリコーンを使用した方が良い場合があります。
また、ノンシリコーンタイプのシャンプー剤は「きしむから止めた」なんてお話をよく聞きますが、今はノンシリコーンでも「きしみ」が気にならないシャンプー剤も多く出ているので安心してください。その代表格はサロン専売品のシャンプー剤ような、やや価格的には高めのシャンプー剤です。価格には何かしらの製品特性が反映しているって事ですね。
「シリコーン」・・・要は使いようです!健康毛のような方にはあまり必要ないかも知れませんが、ご自身の髪質に合わせてシリコーンの有無を使い分けてみてはいかがでしょうか。
シャンプーソムリエアカデミー認定講師
上田明弘
dress hair オーナースタイリスト 兼 シャンプーソムリエ