リンパの流れを改善!入浴の健康・美容効果について深堀りしてみる
2018.3.12
入浴でリンパの流れを改善!「湯船に浸かる」という世界各地に古くからある文化や習慣には、果たしてどのような効果・効能があるのでしょうか。今回は私自身が、大学や各種講義で紹介しているエビデンスに基づいた情報を提供しつつ、健康と美容の側面から、湯船に浸かる入浴の効果をお伝えします。
春らしく昼間の太陽が力強くなってきました。花粉も元気に飛び始めましたね。
こんにちは、野口花琉実です。
これまでビューティーコンシェルに掲載された記事を振り返ってみて、まだ書かれていない、しかし大切な基本的なこと。
そしてちょうどこの季節だからこそ定着させたい習慣について、今日はその効果・効能を掘り下げてみたいと思います。
その習慣とは「入浴」です。
入浴は血液やリンパの流れを促進し冷えやむくみを解消してくれたり、リラクゼーション効果や美肌効果も期待できたりと良いこと尽くめ!
今日はそんな入浴の効果について詳しくご説明します。
まずは入浴
これまでの記事でもちょこちょこと、その効能について書いてはきましたが、今回は入浴の有効性についてしっかりと説明します。
理由がわからないと動機は強化されません。
また、理由が理解できていないとなかなか習慣化できないのも事実です。
しっかりとその機能と良さをわかった上で、日々の生活に取り入れていきましょう。
ここでの入浴はシャワーだけで済ませてしまう入浴ではありません。しっかりと湯船に浸かることの「必要性」を皆さんにもお伝えしていきたいと思います。
その有効性は以下の通りです。
1.温熱作用による血液循環の促進と冷えの解消
温かいお湯にしっかりと浸かることで、皮膚の表面から順に脂肪細胞や筋肉を温めることができます。
また、当然ながらそのお湯の温かさによって血液循環も良くなるので、表面だけではなく体の芯まで温まります。
シャワーだけの場合は、お湯が流れる場所の温度を感じる末梢神経が刺激されて温かさを感じるものの、脂肪細胞や筋肉までを温めるには至りません。
感覚としては温まったような感じがしても、実際に体の中までは温まっていないのです。
しっかり湯船に浸かり、いったん冷えると温まりにくい脂肪細胞や筋肉が温まることで、温熱作用により血液循環は促進され、冷えが解消される体内環境へと整っていくのです。
2.入浴で血流やリンパ液の流れが促進されます
私たちの体を流れる液体の話をします。私たちの体の中では、二つの体液「血液」と「リンパ液」が全身に網の目のように張り巡らされている管によって流れています。
まず、血液が流れる血管について
血管には、酸素や栄養素を運ぶ動脈と二酸化炭素や老廃物を運ぶ静脈があり、動脈は心臓がポンプの役割をして、全身の細胞に血液を送り届けます。
そして静脈は二酸化炭素や老廃物を回収しながら心臓に戻ります。
静脈はどうやって血液を送るのでしょう。
例えば立っている人の足の先から心臓まで、1メートル以上も液体が上るというのは不思議ですよね。
何がポンプになっているのでしょうか。
その答えは筋肉です。足や胴体の筋肉の収縮が血管への刺激になり血液が押し上げられていくのです。
しかし、重力に逆らうのは大変です。ですから、上っている途中の血液がうっかり逆流しないように、所々に逆流を食い止める弁があって、しっかり前に進むように後押ししてくれているのです。
次に、リンパ液が流れるリンパ管について
リンパ管は血管とは別の流れ方をしていることをご存じでしょうか。
リンパ管は体中をぐるぐる巡っているのではなく、一方通行の流れなのです。リンパ液は末端から中心に向かう方向に流れている体液なのです。
例えば足であれば、足の先から各所の老廃物を回収しながら上へ上へと上っていき、最終的には鎖骨の辺りで静脈へ合流します。
そして、リンパ管の仕組みも静脈と同じで、自力でリンパ液を運ぶのではなく、周りの筋肉の収縮による刺激によってリンパ液を運ぶのです。
しかも、リンパ管には心臓のようなポンプがないので流れるスピードは非常にゆっくりです。なにせたくさんの老廃物を運んでいるので、ここにも静脈と同じように、各所に逆流を食い止める弁がついています。
血管とリンパ管という私たちの体液を運ぶ仕組みを考えると、上りは大変だということがご理解いただけると思います。
人間は、睡眠時以外は二足歩行を基本として生活しているので、だんだんと上方向への体液の移動がスムーズにいかなくなります。
夕方ぐらいから足がむくみやすくなるのはこういう理由です。
特に体全体の筋肉量の少ない女性の方がむくみやすいのもこの仕組みのせいです。
そこで、筋トレをして筋肉をたくさんつけることが、むくみにくい体を作る一つの方法ですが、もう一つ良い方法として、「湯船に浸かる」という方法があげられます。
血液やリンパ液が流れる鍵は「静水圧効果」
湯船に浸かることによって、体には静水圧という水圧がかかります。
水深10センチで、1㎠に約1kgの水圧がかかりますので、お湯に浸かっている部分は、自然と外から圧量がかかることになり、その圧力によって血液やリンパ液の流れに刺激を与えることができます。
そのため筋量の少ない女性でも、湯船に浸かることで末端からの血液やリンパ液の流れを促進することができるのです。
リンパ液や血液の流れが良くなることで、水分や老廃物が速やかに回収されますので、足のだるさやむくみの改善だけではなくセルライトを予防することもできます。
スラリとした下半身をつくる基本になるのです。
さらに、その圧力がかかった中で手足を動かせば、水圧が軽い抵抗を生みますので、筋肉への刺激は空気中で行うよりも大きくなります。軽いダンベル運動を行う感じになるわけです。
3.浮力効果でリラックス
また、湯船に浸かることで、体には浮力がかかります。
肩までしっかりと湯船に浸かることで、体重は浮力のおかげで10分の1ぐらいに減少しますので、体が楽に感じられるわけです。
空気中でかかっている重力が軽減され、筋肉や関節にかかる負担も減り、リラクゼーション効果を得ることができるのです。
4.お肌の新陳代謝を促し美肌効果
お湯にしっかりと浸かることはすなわち、お肌全体の水分補給になります。
お肌の表面の角質細胞に水分がしっかりと行き渡り、潤うとともに、自然に不要になった角質がふやけて剥がれやすくなります。
また毛穴や皮脂腺も開き、さらにリンパの流れが良くなり汗をかくことで、老廃物の排泄を促します。
(老廃物の排泄にはリンパ液の流れが必要です)
血流がよくなることで、よりお肌への栄養も行き渡りやすくなり、新陳代謝は盛んになり、結果としてお肌を美しく保つことができるのです。
※入浴後のお肌のお手入れも忘れずに※
角質が柔らかくなっているので、放置すると乾燥から劣化へとつながります。ボディーローションやクリーム、オイルなどでしっかりとケアをしましょう。
5.お湯の温度が自律神経への刺激になる
自律神経とは、私たちの臓器をコントロールする神経のことで、「交感神経」と「副交感神経」の二つの神経がバランスを取り合って働いています。
交感神経は、昼間活動している時や運動時に活発に働く神経で、精神的に緊張したりストレスがかかったりしても、交感神経が刺激されることで生体を維持するよう働きます。
それに対して副交感神経は、睡眠時やリラックスしている時に優位に働くという特徴があります。
自律神経は無意識に働いていますので、自分の意識でコントロールすることができません。そこが自律神経の難点です。
しかし、この自分ではコントロールできない自律神経を、入浴することでコントロールすることができるのです。
そのコントロールの鍵となるのが温度です。
お湯の温度が高め41度~43度ぐらい(体感には個人差があります)の時には、交感神経を刺激することができ、低め38度~40度ぐらいのぬるめに感じる時には、副交感神経を刺激することができます。
このお湯の温度がもたらす作用を利用すると、例えば就寝前に入浴する場合はぬるめのお湯にゆっくりと少し長めに浸かることで、副交感神経を刺激してリラックスすることができ、体も芯まで温まり、浮力効果で体もゆるみ、その結果質の良い睡眠をとることができるのです。
反対に、朝眠気が払えない時には、熱めのシャワーをサッと浴びるだけで、スッキリと目を覚ますことができます。
このように湯船に浸かる入浴は、健康面や美容面にとても効果的で、重要な日常の習慣なのです。
そしてもう一つ忘れてはならない効果があります。それはメンタル面のケアに関する、とても重要な要素についてです。
6. 一日中頑張った自分の身体をいたわる時間
毎日、皆さんがやりたいことを存分に楽しんだり、実現したり、やらなければならない義務や責任を果たしたりできるのは、言わずもがな、皆さんの「身体」が皆さんの思い通りに頑張って働いてくれたおかげです。
反面、風邪で高熱が出て、どうしても行きたかった友人との集まりに行けなかったり、重要な会議があるのに会社を休まざるを得なかったり、気持ちはあるのに身体がついていかないという経験は、誰にでも一度や二度はあるのではないでしょうか。
結局は、身体が動いてくれるから、日々色々な活動ができ、体験を積み重ねていくことができるのです。
さて、こんな当たり前なことを、なぜわざわざお伝えするのか。
それは、私たちが調子の悪さを自覚しない時には、まま身体に対する意識も低く、身体について振り返ることをしないからです。
だからこそ入浴という時間を、一日の締めくくりとともに一日働いてくれた身体に対する感謝を表す時間と位置付け、そして大切な身体を入浴時間にゆっくりと見直して、いたわってあげて欲しいのです。
“肩がこんなにカチカチなのは、残業時間までパソコンに集中していたからだわ。お疲れ様!”
“足がパンパンにむくんでいるのは、一日中立ちっぱなしで接客をしていたからだわ。頑張ってくれてありがとう!”
そんな気持ちを持って自分の身体に向き合ってみると、本当に自分は毎日頑張っていることが分かります。
パンプスを履いているだけでも足は窮屈かもしれませんし、通勤電車でカバンを持って立っているだけでも、肩や腰は悲鳴を上げています。
身体は、そうやって頑張っているということに気づいていたわってあげると、「分かってくれてありがとう!明日もあなたが元気に働けるように頑張るわね。」と、本来備わっているフィードバック機能で、あなたの想いに応えてくれることでしょう。
日々繰り返すことで、いつのまにか自己肯定感がアップするという大きなご褒美もついてきます。
皆さんの毎日を支えてくれている大切な身体の労苦をねぎらい、いたわりながらゆっくりとお湯に浸かり、一日の疲れをお湯の中に溶かし流してください。
7. “禊の儀式”
また、私は、疲れを流すだけではなく、ネガティブな気持ち、他人から受けた負のエネルギー、汚れた外気に触れたもの全てを洗い流す、
“禊の儀式”
として入浴という行為を使っています。
その想いは本来入浴が持つ効果のグレードを数段アップしてくれ、ココロとカラダの調和を強化してくれます。
ほかにも、睡眠という重要な休息の時間の質を向上させるのにも役立ちます。
就寝前にゆっくりと湯船に浸かる入浴がおすすめ
最後になりましたが、入浴の身体への作用とメンタルへの作用を考えて、就寝前にゆっくりと湯船に浸かる入浴が私のおすすめです。
少しだけ意識を変えることで、日々なにげなく習慣になっている入浴という行為が、自分で自分をケアする重要で大切な時間に変わります。
そしてそれを習慣化すれば、特別な場所に行かなくても、カラダもココロも在りたい方へ変わっていきます。
冬の寒い時期には湯船で温まることをしていた方も、暖かくなってくると、なんとなくお湯を張るのが面倒でシャワーだけで済ましてしまうということもあるでしょう。
しかし入浴は意識を持って湯船にゆっくりと浸かることが、美しく素敵な毎日のための基本の習慣なのです。
どうぞ、今日からゆっくり湯船入浴を楽しんで、その効果を存分に堪能ください。
次回は、具体的な入浴の楽しみ方をご紹介します。
今日もお疲れ様でした!!野口花琉実でした。